医学部(再)受験のすすめ vol.1

文部科学省の調査によると現在、高等学校への進学率は97%を超えており、高校に進学しない人はごくわずかしかいません。「将来、自分が就きたい仕事に就けるか」という観点から見た場合、少なくとも15歳ぐらいの段階では、まだほとんどの人が同じ条件のもとにいるといってよいでしょう。

 

しかし、その後はどうでしょうか。おそらく、高校を卒業してからの選択肢は大きく以下の3つに分かれるでしょう。

①大学に進学せず就職をする

②あまり偏差値が高くない大学に進学する

③いわゆる高偏差値校の有名私大や国公立大学に頑張って入学する

 

 就きたい仕事、あるいは入りたい企業は人それぞれ異なるでしょうが、今の日本社会では、いったん①、②の道を選んでしまうと、その後のキャリア選択の可能性は大きく歪められてしまうのが現実です。なれる職業の種類も、入れる企業の数も、③の道を選んだ人たちとの間で非常に大きな差が出てくるはずです。

 

 社会学者の吉川徹氏は、この日本社会の実態を「学歴分断社会」という言葉で的確に表しています(『学歴分断社会』ちくま新書)。高校卒業後の学歴によって人生の可能性が大きく制約される、そして私たちの人間関係まで、それによって分断されている、学歴とはそのような格差を生むための分断装置なのだ、という氏の主張には強く首肯せざるをえません。

 

 もちろん、仮に①の道を選んだとしても、いわゆる一流企業に就職したり、高収入の仕事に就くことが全く不可能というわけではありません。しかし、それを実現するためにはおそらく苦労も多いはずですし、心無い差別的な扱いを受けることもあるでしょう。

 

 そのような苦労や差別を受ける可能性を考えれば、思い切って1,2年勉強をやり直して、改めて③の道に進むほうが合理的といえるでしょう。最終的に同じような高ステータスで高収入の仕事に就くという目的にたどり着くにしても、はるかに少ない努力や苦労ですむはずです。本書で社会人の医学部再受験を推奨したのも、まさにそうした思いからなのです。また、高い偏差値の大学に入ることには、キャリアの選択肢が広がるということの他に、そこで築いた人脈がその後の人生でなにかと役に立つというメリットもあります。

 

 このように学歴によって、キャリア選択の可能性や社会的ネットワークの広狭が決定されるという日本の状況は。おそらく今後50年ぐらいは変わらないでしょう。それを批判するのは簡単ですし、個人的にも気持ちの悪さや反感を覚えますが、そうした状況によって不利益を被る立場に甘んじるくらいなら、むしろそれを利用し、変えていく側に立ったほうが良いのではないでしょうか。(つづく)

 

原田広幸・瀬戸雅美 共著 『30歳・文系・偏差値30でも医学部に受かる勉強法』(幻冬舎)エピローグ:「学歴分断社会」日本を生き抜くために より抜粋